「それゆけ! 徹之進」というアニメは、2005年の後半・・・というか たぶん、秋になって企画され、2006年いっぱい放送されたモノです。 2005年というと、もう、皆さん、「忘却の彼方」かもしれませんが、 ホリエモンがニッポン放送を買うとか、フジテレビを乗っ取るだとか、 村上ファンドがどうだとか、六本木ヒルズの「ヒルズ族」とか、 なんかそんな「ネットで大金持ちになりましたー」みたいな人が もてはやされた年でした。 で、そんな年に企画された「ワンワンセレプー それゆけ! 徹之進」は モロにそういう世相を反映した企画でした。 なんか、聞いた話だと、 タカラがもともと長年アニメをやっていた、テレ東の時間枠があったんだけど、 タカラがそこを降りちゃうから、「空き」ができる。 それは、困るから、タカラと長年コンビ組んでたウィーヴでなんとかならない? とかいう話があって、 ウィーヴさん、突然、アニメの企画を大急ぎで考えなくちゃならなくなった。 困ったウィーヴの社長さんが「そうだ。来年は戌年だし・・・! ウチのかわいいトイプードル、徹之進ちゃんを主人公にして、 犬のアニメを作ろう!」とか、ふと思いついて、部下に命令。 困った部下が、「巷で話題のセレブな六本木ヒルズを舞台にした犬のアニメは どうです? アメリカのセレブはオシャレな犬を飼うのがステイタスとか言いいますし」 とか、テキトーなことを提案。そうしたら、「それはいい。それなら現代性あるし、 社会風刺みたいなのも盛り込めるかもな」とかいうことになったとか。 ホントかウソか知りませんが。話半分で読んでいてほしいんですが。 で、「六本木ヒルズに住む、一見お金持ちのルミちゃん。徹之進はそこのペット。 ルミちゃんのママは、物凄い浪費家で、おかげでパパさんの会社は 何度もつぶれそうになる。そのピンチを、徹之進と犬楽園の仲間が救う」という 「アニメ徹之進」の前半の基本パターンができたみたいです。 「視聴者の大半は一般大衆だから、 アニメの中で、お金持ちが浪費して、ピンチになっても、 ざまあみろ・・・と思うだけで、ハラハラしないんじゃないの? それに、なんでそんなバカを、ワンちゃんたちが救わなきゃいけないの? ワンちゃんは、フランダースの犬みたいに、清らかで正直で貧乏で可哀想な ご主人にやさしく付き添うのが、一番ふさわしいと思うんですが。 そんなのつまんないから、ルミちゃんが六本木ヒルズに住んでるとか やめて、どこかそこらの、よくある郊外一戸建てに住んでる・・・でいいんじゃないですか?」 とか言ったんですが、さすがに嫌な顔(電話だったけど)をされまして、 「もう、それでいくことに決まっているんです! 漫画もなるべく、そういう展開にしてください。 せめて2.3回はそういうのを盛り込んでくださいよ!」と、言われました。 怒られちゃったあ。 で、しょうがない・・・っていうんで、カミさんと二人で考えた話がこれ。 いちおう、大筋は、アニメの第三話だか四話だかのプロットのままです。 ただ、問題の解決方法が違う。 アニメだと「徹之進がセトさまの魔法で、人間のヒーローに変身し、 パパに『儲かる株の銘柄』を教える」のですが、 「犬が人間に変身するなんて、あんまり面白くないよなあ。 犬のまま、無理矢理人間のフリをするほうが、見てて笑えるだろ」 と、いう判断で、こんな感じになりました。 まあ、二人バオリをして、無茶苦茶なことになる・・・つうのは、 よくあるお笑いの展開で、ドリフとかがよくやってましたから、 そこらがネタ元なんですね。 「徹之進が、魔法で、セレブナイトという人間型ヒーローに変身する」という設定は 漫画でやっても、面白くも何ともない・・・と思ったので、 結局、朝小の漫画では、一回も使いませんでした。 徹之進は一度も変身していない。 うーん。これも随分、勝手な判断だなあ。よく許してもらえたよね! (単行本1巻のオマケについた、30ページの「長編徹之進」では 一度だけ変身していますが) で、セレブのほうの話なんですが、 徹之進のアニメが始まると、 「馬鹿な金持ちを救うアニメなんて最低」とか「軽薄な金持ちを賞賛するクソアニメ」 「純真な子供視聴者に、汚らしいマネーゲームの世界を見せるとは何事!」 「原作は朝日小学生新聞に載っているらしいが、このような お金儲けアニメに手を貸すとは、朝日も堕ちたものだ」 「そんな漫画を書いている悪魔のような漫画家の顔がみたい」とか 2ちゃん中心に糞味噌に叩かれてました。案の定。だから言ったのにい。 そこへ、例のホリエモンショックです。 2006年の正月には「かいてん、かいてん、かいてん〜」とか CMでクルクル回ってたのに、タイ〜ホされちゃって。 六本木のあのビルも、おまわりさんが団体でドカドカ踏み込んだりなんかして、 まるで「悪の牙城」「神洲纐纈城」「ロードオブザリングの目玉のついてる物凄い城」 のような扱いに。180度転換です。 実はアニメのほうには、「ブリエモン」という誰がどう見てもあの人だろ・・・・ というサブキャラがいて、ここだけの話、 ブリエモンの声をアテてくれませんか? と声優デビューを打診したこともあるとか。 断られたらしいけど。断られていて良かったですねえ。 で、ホリエモンショックがたしか、2006年の1月の半ば過ぎだったと思いますから、 アニメたちあげてすぐに、「重大なピンチ」を迎えたわけです。 ウィーヴは、上を下への大騒ぎ。 そう、思い出しました。たしか、この第四話は、本当は第三話だったんです。 タイミングがあまりにもアレだったので、一週ぶん、入れ替えて、 朝小に載ったんですよ。 とにかく、そういう感じでした。ものすごくバタバタしていた。 で、この後、アニメのほうも「ブリエモン」はフェードアウトして、いなくなっちゃうし、 「お金儲け」とか「セレブ族」とかいう、2005年的な要素は どんどん削られて、なくなっていきました。 「できるだけ、ノホホンと、毒にも薬にもならない、のんきなやつに」みたいな 感じに、舵を切っていきます。 たしか、徹之進関連の玩具も、試作品まで出来ていたのに 「もはや時流に反するもの」ということで、見送られたんです。 とにかく、「相当なピンチ」でした。「時流にのる」というのは、怖いですねえ。 漫画のほうも「もう、なんでもいいから、明るく楽しいワンちゃんの漫画でいいです」 とかいうことになり、最初から「おまかせ」だったのが、 さらに「おまかせ状態」になっていきます。
by tetsu2259
| 2007-04-27 14:44
| 04 パパのピンチ
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